大工さんの日常

今時手間受け大工の仕事、無駄?知識、愚痴なんかをちびちび書き綴ります。

新人さん

いやー今日暑かったですね、薄手とはいえ長袖装備もそろそろ衣替え。

本日も来訪者がひとり、まぁ昨日の段階からわかってました。

トステム、現リクシルの営業さん、現場経験ゼロだそうです。

たまたま建てたばかり、会社からも近いとゆう事でうちの現場見学及び給排水位置の墨出しをしに来ました。

業界では珍しい女性、まぁ営業だからいるにはいるでしょうが、現場に来るのはなかなか珍しい?

剛床が一般的になりつつある一階床、根太転がし工法を頑なに?守る当方で実践経験をしにきたらしいですよ。

ユニットバスも普段は違うメーカー使ってて、今回はリクシル製との事で好都合

「まぐさ作るのにユニット入口枠の開口寸法、製品の「タッパ」が知りたいです。」

「まぐさ?タッパ?」

おっと、ここからですか(*´ω`*)まぐさは多分建築用語、タッパはいくらか方言なんでしょうか?

「失礼、ん~、製品の高さ、いくつ開ければいいのか知りたいんです」

「あ、了解です、すみませーん‥」

何だか申し訳ない事をしたな、と反省‥。

開口寸法を必死に探す新人さん、これかな?あれ、違う?あっ、こっちか!とかやってます、給排水の墨出し、と、言われて来たろうに意地悪な大工さんがいたもんだ。

お次はキッチン、対面式でカウンターの立ち上がり箇所には土台が走っているのでその土台から基準を出す。が‥

「80ミリ、ここです!」

「壁の厚み分、見てます?」

「あっ!そうですよね!93ミリ、んー難しい‥」

いいことしてるんだか悪いことしてるんだか、まぁ折角来たなら勉強して損はないはず。

で、次はレンジフード側の壁から追っかける。

「今回は大丈夫!壁厚13ミリ見てます!」

自信満々の彼女

「でもそっちの壁はキッチンパネル貼るのでプラス‥」

「そっか、こっちはパネルも貼るんだっけ!プラス5ミリ‥」

「から更に5ミリ見て大丈夫、つまり下地の間柱から25ミリ程度見て下さい」

「?随分壁厚いんですか?」

「いや、壁ボードは12.5ミリ、他と同じです、そこから更にキッチンパネル5ミリ、両面テープとボンドを付けると若干大きくなるので7~8ミリです、で、パネルの下に巾木が付くのですが巾木が9ミリ、ボード厚+巾木厚で22ミリなので25でいいですよ」

「えぇ~難しい‥」

更に追い討ち

「でも実際、キッチン下部の引き出しの奥はパイプスペースになってて結構左右の融通効くのでそんなにシビアな寸法じゃなくて大丈夫ですよ」

「えぇ~‥」

先に言ってやればいいものを、意地悪な大工がいたもんだ。

一時間程度の時間をかけて、なんだかんだで墨出し実習を終えて帰っていきました。途中で会社の社長も合流。話題は業界に入った理由。

「なんでこの業界?」

リクシルのキッチン売りたいんです!」

すごい、ストレートすぎる。聞けば23歳、これからまだまだ勉強する事ばっかりだろう、頑張って欲しいものです。


たまたま他の図面も持っていたのでカップボードの確認。

キッチン裏にカップボードが付く予定で、キッチン裏には明かり取りの高さ370のはめ殺し窓が天井ドンで付く、その下に吊戸棚が付くんですが、その高さが900、下台が850なので天井高2500をもってしてもカウンター上が400前後しか開かない。炊飯器は多分蓋開きません。

「窓低くするか~このカップボードのカウンターの中に高さ変えちゃう?」

「でもこんな低いと明かり取りの意味ないですよね?」

「あーそっか‥吊戸無くす?」

新人さん「あ、吊戸小さいのありますよ!」

高さ500という吊戸に変更して貰いました、さすが営業さん、まぐさの位置を変えるというやり直し仕事から私を救ってくれました。

「わたし今日ちゃんと仕事出来ましたね!また設備いれる頃になったらお邪魔するかもしれませんのでその時はお願いします!」

ニコニコしながら帰っていきました。若い人がいっぱい入れば更に業界は活気づくでしょうね。