平和な一日、のはずが
一昨日昨日と道具にダメージ食らって、三度目の正直今日も何か、と思いましたが道具はノーダメージ。手に深々刺さったトゲもインパクトビットで親指刺そうがあまり気になりません。
ただ、午後3時、またもや来訪者です。
近所のオヤジさんなんですが、いかんせんお話が好き。元大工だが道具を盗まれて?引退、で今は基礎屋さんにお世話になってるとのこと。
ファーストコンタクトは土台敷き、朝9時に通りかかり、話すだけ話して10時過ぎまでいらっしゃいました。
出身地が私の住まいの隣市だと言う事から話が通じて、ちょくちょく来るように。まぁ2階で仕事やってたし発電機も唸ってたので話らしい話もせず挨拶を交わす程度。
初日の話の中で、会社に若い人が2人ほど入った と言うのを聞きました。職人の高齢化が進む職場、若い人にはどうしたって期待をしちゃいます。
オヤジさんの会社でもそうらしく、若い衆に新しい道具を与えたり勉強をさせてみたりと、可愛がっているらしいです。
その余波を受けてるのがこのオヤジさん、初日は明日からは忙しい忙しい言いながら、今から預金を下ろしてくる(パチンコいってくる)と言って消えていきました。
上棟当日も午前中いっぱいぐらい見てたようです。邪魔されてはかなわないので見て見ぬふり、というより構ってられる時間もないし(^^;
で、今日。
「社長は若い衆にばっかり手をかけてる、道具も新調して預けてる」
「若い人貴重ですからねー育ったらオヤジさん楽できるじゃないですか」
「若いのに教えるから明日は来なくていいや、とか言われるようになってよお‥。」
「ありゃ」
どうりで日中よく見かけるワケだ、とか思いながら話が続く。
「お宅をやった基礎屋、忙しいって言ってたから今度行ってみようかな」
基礎屋さんにもコンタクトしてたんすね。
「メーカーさんの仕事も結構やってますからね」
今の起訴屋さんはホントに忙しいらしい。親方も先代を知っていてひょんな事からお願いするようになったらしいが上手。
レベラーだってほぼ均一、しかも薄い。土間の仕上げも丁寧、何より先代が気性は激しいが礼儀正しい人だったらしく、今の代の社長さんも同じ気質だと親方言ってました。
基礎は前々回頼んだところが立て続けに酷かっただけに、会社としても一安心。
話が反れましたが続き。
「大工さん、俺をアルバイトで使わない?」
あれ、今基礎屋さんに行くっていわなかったっけ?
60代?とお見受けします、元大工という肩書きはあるもののさすがに素性も知らない近所の親父。
「今道具なきゃ大工は何にも出来ませんからねー」
「だよなぁ、預金下ろしてくるか」
そう言って去っていきました。
高齢化が進む建設業界、工具や重機の発展で即戦力になる人間がいる一方、このような結果を招いているのかもしれません。
知識や技術はあってもそれを活かせない、活かす必要がなくなって来ているのでしょうか?
たまたま覗いたヤフーの知恵袋
「大工一人前になるのに何年かかりますか?」
の質問のベストアンサー
「今の家なら2~3年で一人前に出来ます。今の家はプラモデルと一緒です、技術はいりません」
だってさ。
そりゃ今の家は確かに昔に比べれば簡単、工期も短縮されています。いかに効率よく、綺麗で、それでいて丁寧に仕上げるか、命題です。
それを一言で済ませちゃうんだから、ちょっと悔しいと思いました‥。
大工11年目。まだまだ未熟者。一般の住宅は出来ても和室の造作なんてかじった程度、というよりほぼ見てただけ。墨出し、刻み、出来ません。化粧垂木の割り付け、本の知識だけです。というよりさわれる機会がありません。
機会があったとしてもやったことがないわけですからきっとなーんも出来ません。
勉強したいけど、その間家族はどうする?カミさんと子供二人、両親もいれば祖父母も健在。今から覚え直すには背負うものが大きくなりすぎました。リフォームなんかで収まりを見るか、一服の時に先輩から話を聞くだけ、勉強の機会は少ないですが聞くだけでも経験値は増えると前向きに考えます。
今は生活するのに精一杯、がむしゃらに頑張るだけです。
「収入が多いから」
「バカでも出来るから」
「女にモテるから」
たぶん今第一線で活躍中の大工さんは、こんな事考えなかったでしょう。むしろ考える時間がなかったほどに夢中で仕事を覚えたでしょう。
そんな気持ちの素人が、こんな気持ちの職人にくっついていこうってんだから、温度差は埋めきれません。
中にはもう「大工」にしか興味がない若者もいるでしょう。私もそうでした。道具箱ひとつ担いで、毎日鑿叩いて鉋かけて、描いていた大工像とは違いましたが大工やりたくて仕方なかったんです。
明日も「プラモデル」などとバカにされない、「建物」の続きを頑張りましょー。